「防災キャンプ」の開催(2014年11月2日(日)〜3日(月))
海上キャンプ場の地域連携プログラム
2014/11/10
はじめに
海上キャンプ場のある旭市は、3.11東日本大地震により発生した津波や液状化により、千葉県下で唯一、犠牲者を出してしまった街です。その経験から、市民による防災活動が盛んです。ここに紹介するプログラムは、そのような街故に考え出されたイベントですが、各地での防災意識啓発活動の場で、この事例が検討の資になるよう、そのプログラムを紹介するものです。
1. 防災キャンプの目的
イザ!という時に備える意識の啓発。
2. 企画の実施団体
【共催】NPO 光と風、(株)塚原緑地研究所
【協力】千葉科学大学危機管理学部、(株)うなかみの大地、旭市観光写真ボランティアの会、劇団 ふく、いいおか津波を語り継ぐ会(語り部)、NPOみどりのネットワーク千葉
3. 背景と経緯
3.11東日本大地震により発生した津波によって、千葉県旭市では県内最大の人的被害を被ってしまいました。この時から、“体験から得た教訓の共有と継承”を強く自覚する市民有志による、旭復興街づくり活動が始まりました。その原動力が市民恊働による問題解決の場“円卓会議”の開催であり、その場で提案されるアイディアの数々です。“防災キャンプ”の構想は、この環境で生まれ育まれていた企画です。
4. 役割
【NPO光と風】
被災各地は勿論、広く被災体験から学んだ防災意識の啓発について、行政当局のみならず地域市民レベルでの活動が展開されています。ここ千葉県旭市においても、より持続的な活動に向けて特定非利営法人が設立され、“NPO光と風”と名付けられました。そのNPO光と風が、円卓会議を主宰し、防災キャンプ開催に携わる人材を送り出しました。
【千葉科学大学】
多くの、そして若い市民活動には不安定な進路と混沌が立ちはだかります。その状況を乗り越えるには、目的に対するぶれない助言が必要になります。その役割を担うのが、地域社会との連繋をポリシーに掲げる大学の存在です。防災キャンプでは千葉科学大学危機管理学部の教職員が、プロデユースの労を担っています。
【(株)塚原緑地研究所およびNPOみどりのネットワーク千葉】
緑の環境保全、緑の街づくり等に関わる技術コンサルティング専門家グループです。会場となった海上キャンプ場の指定管理者であり、防災キャンプの開催実務を担いました。
【(株)うなかみの大地、旭市観光写真ボランティアの会、いいおか津波を語り継ぐ会】
それぞれが円卓会議に着席するステークホルダーであり、地域の復興や活性化に貢献する相応の実績を積み重ねています。防災キャンプでは、プログラムの実施や参加者に対する指導支援サービスを担いました。
5. 募集
旭市海上キャンプ場防災キャンプ『親子防災キャンプ体験教室』
表題 イザ!という時に活きるキャンプ体験
【開催日時】
平成26年11月2日(日) 午前11時〜3日(月) 午後3時までの一泊二日。
【場所】
千葉県旭市岩井1000 旭市営海上キャンプ場
【募集対象】
小学生と保護者 8組
【参加費】
1組当たり1,000円(1人当たり500円)(内訳 施設利用料、消耗品費、障害保険、その他)
【趣旨説明文】
キャンプは、野外レジャー・スポーツとしてとても楽しい活動ですね。
実は、突然の災害時に、役立つ知恵・使える工夫がいっぱい詰まっています!想像のつばさを広げてみてください。もし地震で電気やガスが止まったら、貴方はどうしますか?屋外で一夜を過ごさなければならないとしたらどうしますか?
大震災を被災し九死に一生の経験をし、その後の不自由な生活を過ごした旭市飯岡の「語り部」さんの言葉「生きてて良かった」をもとに構成しました。
「親子でキャンプ体験教室」の目的は、《お互いさま》参加者が出し合う「知恵」、それぞれができる事をする「工夫」、できない事を助け合う「恊働」、そして《いただきます/ごちそうさま》生きる喜びを秋の収穫とともに「味わい」―感謝。
命(いのち)のあっての物(もの)種(だね) 畑(はたけ)あっての芋(いも)種(だね)
6. プログラムの立案
【防災】
襲い来る災難の前に壁を築く事。防災をそのようにイメージすれば、以下に記載する想定は、防ぎ切れずに被災して巻き込まれた非常事態。その中で人は、命を永らえるためのサバイバルが避けられません。
その核心は風雨を避けて、そして“食べること”です。楽しみを目的にする野外でのキャンプでは、その時間の大半をライフラインに頼らず生活します。一見似て非なるために、防災をテーマにするこのキャンプでは、仮定の状況を設定しました。
【状況設定】
被災第一夜は混乱の最中。先ずは家族の食と寝場所を確保する。
翌朝、隣人と顔を合わせ、互いに食べ残しや非常食の持ち寄りによる朝食を摂る。
その後、情報の交換のため、より人の集まる場所へ移動を決めて、その準備を済ませ出発する。
4km程離れた集会所へ到着し、準備されていた炊き出しを受ける。
7. 応募者
チーム名 | 住所 | 保護者 | * | * | * | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 旭市 | 39F | 7F | 6F | バンガロー | ||
2 | 旭市 | 37F | 36F | 8M | バンガロー | ||
3 | 八千代市 | 42M | 39F | 10M | 8F | 7M | テント |
4 | 旭市 | 43F | 10M | バンガロー | |||
5 | 旭市 | 34M | 32F | 8F | バンガロー | ||
6 | 旭市 | 36F | 8F | バンガロー | |||
7 | 旭市 | 36F | 7F | バンガロー | |||
8 | 旭市 | 38F | 8M | 6M | バンガロー | ||
9 | 旭市 | 36F | 10M | バンガロー | |||
10 | 旭市 | 49F | 13M | 12M | バンガロー | ||
協力者 | 旭市 | 49F | バンガロー | ||||
旭市 | 55F | バンガロー |
8. プログラム
11:00 | 参加者受付、オリエンテーション。 施設案内、宿泊棟の割当等 |
12:00 | 昼食、自己紹介 |
12:30 | プログラム(1) 知識の備え 防災教室 基調講座 救護体験 工夫体験 |
14:20 | プログラム(2) 生きるために食べよう 食べる算段をしよう。 食材、機材の確認 メニューを考えよう。 湯を湧かそう。 火起こし体験 調理しよう。 明日に備えて干物をつくろう。 イカの一夜干 |
17:00 | 各自のメニューを紹介 |
18:30 | プログラム(3) 語り伝え 飯岡津波の体験に耳を傾けよう。 語り部のお話 紙芝居 さとちゃんの稲むらの火 a, 大人の部 語り部を囲む懇談会 3.11震災が起こったあの日の私。 b, 子供の部 ロープと段ボール箱にボールがあれば。 |
7:00 | プログラム(4) 協力 非常食を考えよう。 暖かい一品のために力を合わせて。 |
9:00 | プログラム(5) 恊働と感謝 荒れ地や森を抜け避難所へ |
11:00 | 大地の恵みに感謝、芋掘り体験。 |
12:00 | 炊き出しに感謝 |
14:00 | 解散 |
この必要経費は金額換算で約20万円。しかし労力はボランティア。資材等は共催、協力団体からの無償提供により賄われました。
左:オリエンテーション/右:防災教室
左:サバイバル教室/右:夜食
左:非常食/右:朝食
左:サバイバル/右:収穫体験
左:サバイバル/右:収穫体験
炊き出し